プログラミングの「浮動小数点型」とは?初心者向けにわかりやすく解説


はじめに

プログラミングの学習で、「浮動小数点型」という言葉が出てきて、「これって一体何のことだろう?」と悩んでいませんか?
ご安心ください。この記事を読み終える頃には、あなたは以下のことがわかり、プログラミングの理解が一段と深まっているはずです。

  • 「浮動小数点型」の役割が比喩でわかる
  • なぜ「浮動小数点型」が必要なのかがわかる
  • 「浮動小数点型」の基本的な書き方と、よくあるエラーがわかる

まずは基本!浮動小数点型って一体なんだろう?

プログラミングにおける「浮動小数点型(floating point type)」とは、小数点を含む数値を扱うためのデータ型です。たとえば 3.14-0.52.0 などがこれに当たります。整数型と違い、「1.5個」や「0.1秒」といった“端数のある数”を正確に表現できます。

比喩で例えるなら…

浮動小数点型は「ものさし」のようなものです。整数型が“数を数えるための箱”だとすれば、浮動小数点型は“長さや重さを細かく測るための道具”です。たとえば「りんご1.5個分」や「距離0.8メートル」といった表現ができるのです。


「浮動小数点型」の基本的な使い方

基本構文(Pythonの場合)

# 浮動小数点型の代入
x = 3.14
y = -0.25

# 計算も可能
result = x + y  # 3.14 + (-0.25) = 2.89
print(result)

Pythonでは、float 型として自動的に扱われます。

具体的なコード例

price = 120.5
quantity = 3

total = price * quantity
print("合計金額は", total, "円です。")

出力結果:

合計金額は 361.5 円です。

なぜ『浮動小数点型』が必要なの?

もし「浮動小数点型」がなかったら…

# 整数型だけで計算すると
price = 120
quantity = 3

# 小数の値を扱えない
print(price * quantity)  # 360(端数が表現できない)

整数型だけでは、1.5 や 0.1 といった小数を扱えません。

「浮動小数点型」を使うとこう改善される!

price = 120.5
quantity = 3
print(price * quantity)  # 361.5(小数を含む正確な計算ができる)

金額、時間、物理量などの“端数を扱う場面”で欠かせないのが浮動小数点型です。


初心者がやりがちなミスと注意点

陥りやすい誤解

「浮動小数点型は完全に正確」と思っていませんか?

実は、コンピュータは内部的にすべての数値を2進数(0と1の集まり)で扱っています。0.1のような10進数の小数は、2進数で表現すると無限に続く小数になってしまうため、途中で値を丸めなければなりません。この時に発生するごくわずかなズレが「丸め誤差」です。そのため、0.1 + 0.2 の計算結果が 0.30000000000000004 のような微妙にずれた値になるのです。

よくあるエラー

桁の誤差による比較ミス

原因: 小数の丸め誤差で比較がうまくいかない。

a = 0.1 + 0.2

# 直接比較すると、丸め誤差のせいで False になってしまう
if a == 0.3:
    print("等しい")
else:
    print("等しくない") # ← こちらが表示される

対策: 比較時は「誤差の範囲(許容差)」を考慮する。

# ごく小さな値(許容差)より差が小さいかどうかで比較する
if abs(a - 0.3) < 0.000000001: # 1e-9 は 0.000000001 のこと
    print("ほぼ等しい") # ← これなら意図通りに動く

まとめ:この記事のポイント

  • 「浮動小数点型」は一言でいうと「小数を扱うためのデータ型」!
  • 「浮動小数点型」を使うと、金額や距離など“端数のある数”を正確に扱える!
  • 使うときは「丸め誤差」や「比較の仕方」に注意しよう!

これも知っておくと便利!浮動小数点型の仲間たち(関連用語)

  • その他基本データ型(Primitive / Basic Types)
    • 整数型(int):-100, 0, 42 のような小数点を含まない数値です。
    • 文字列型(string):”こんにちは”, “hello”, “123” のように、文字の集まりです。数字もクォーテーション (” or ‘) で囲むと文字列として扱われます。
    • ブール型(boolean):true (真) か false (偽) の2つの値しか持たない型です。条件分岐 (if文など) の結果としてよく使われます。
  • 丸め誤差(Rounding Error):浮動小数点型は有限のビットで実数を表すため、正確に表せない数が生じます。
  • 桁あふれ(Overflow):浮動小数点型で表現できる最大値よりも大きな数を計算したときに起こります。
  • 桁不足(Underflow):浮動小数点型で表現できる最小の正の数よりも小さな値が計算されたときに起こります。

【コラム】少しだけ「浮動小数点型」の裏側を覗いてみよう

浮動小数点型は、数値を「どのくらいの大きさか(指数部)」と「具体的な数字の並びは何か(仮数部)」という2つのパーツに分けて表現しています。これは、非常に大きな数(例:1億)から非常に小さな数(例:0.000001)まで扱うための仕組みです。IEEE 754という国際規格に基づいており、PythonやC、Javaなど多くの言語で共通の形式が使われています。この仕組みにより、幅広い数値を効率よく表現できます。

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